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正社員のまま働く時間を減らす、「短時間正社員」が埋める空白

働ける時間が短くなると、なぜ雇用の安定やキャリアまで手放さなければならないのか?

育児や介護、病気の治療などでフルタイム勤務が難しくなったとき、選択肢は休職か退職、あるいは非正規雇用への転換になりやすい。

それというのも、勤務時間と雇用形態が一組になっているため、時間だけを減らしたくても、待遇や将来の昇進まで変わってしまうからで、「短時間正社員」は、この組み合わせをほどく制度になります。

フルタイム正社員より1週間の所定労働時間が短い一方、無期雇用契約を結び、時間当たりの基本給や賞与・退職金などの算定方法は同種のフルタイム正社員と同等とし、社会保険も適用される。

時短勤務との違いは「一時的」と決めつけないこと

子育て中の短時間勤務は、一定の期間を乗り切る措置として捉えられやすく、子どもの成長後にはフルタイムへ戻ることが前提となり、対象者も育児中の社員へ限定されがち。

短時間正社員は、育児や介護だけを理由とする制度ではなく、決まった曜日だけ働きたい人、治療と仕事を両立する人、定年後も働き続けたい人、学び直しへ時間を使う人も対象になり得るもので、フルタイムへ復帰する道と、短時間勤務を継続する道の両方を設計することができます。

ここで変わってくるのは、勤務時間より「正社員らしさ」の基準で、長く職場にいられることではなく、担う役割や時間当たりの成果を基に評価する必要が生じてきます。

制度があっても使われるとは限らない

厚生労働省の2024年度調査では、短時間正社員を就業規則などで明文化している事業所は15.9%で、その制度がある事業所のうち、調査対象期間に実際の利用者がいた割合は28.8%にとどまっているようです。

規定を作るだけでは、必要な人が選べる働き方にはならないというわけです。

利用条件が分かりにくい、上司へ申し出にくい、短い時間で従来と同じ仕事量を求められる、昇進へ影響するのか分からない。

こうした状態では、制度が存在しても退職や非正規への転換を選ぶ人は減っていかないでしょう。

企業側にも、業務の分担や引き継ぎ、人事評価を組み直す負担がある。

フルタイム勤務を前提に作られた会議や担当範囲を変えず、本人の勤務時間だけを短くすれば、周囲か本人のどちらかへ仕事が偏っていきますし、短時間正社員の価値は、誰もが短く働けることではなく、働ける時間が変わっても、それまで積み上げた経験や雇用の安定まで失わずに済む点にあるはず。

正社員に必要なのは週40時間働けることなのか、それとも期待された役割を継続して担えることなのか。